スノードロップ

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舞台『粛々と運針』感想

 

2022年3月8日~3月27日までPARCO劇場にて上演された、加藤シゲアキくん主演舞台『粛々と運針』を観劇しました。

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入場してから時間に余裕があったのでパンフレットを購入し、ホワイエ内のカフェで限定ドリンクを注文。列は結構並んでいたけどグラスが沢山用意されていたのでサクサク購入できました。

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ノンアルコールのサクラサンライズ。「サクラシロップで漬け込んだ自家製レモネード グレープとクランベリー風味のローズヒップティーとグラデーションに2つの世界を紡いでお召し上がりください」と説明書きがありました。レモンが入っていてグラデーションがお洒落〜。量はそんなに多くなかったので観劇前に丁度良かったです。

パンフレットと一緒に撮影してみましたがこのパンフレットのデザインも素敵ですね。口元と指が映っていて良い角度…。

 

飲み終わったら劇場内へ。PARCO劇場での観劇は初めてでしたが段差がしっかりあるので視界が遮られることなく、どの席でも観劇しやすそう。今回の座席は後方の真ん中だったので、舞台全体を眺めて楽しめました。

 

『粛々と運針』のあらすじは以下のとおり。(公式サイトより)

築野家。一(はじめ)は弟・紘(つなぐ)と二人で母を見舞う。病室で母から紹介されたのは、「金沢さん」という初対面の初老の紳士。父が死んだあと、親しい仲らしい。膵臓ガンを告知された母は、金沢さんと相談の結果、穏やかに最期を迎えることを選んだという。まだ治療の可能性はあるのに。
 田熊家。平均寿命くらいまで支払いを続けたら自分のものになる小さな一軒家を去年購入した沙都子と應介。その家のどこかで子猫の鳴き声がする。早く助けてあげたいけど、交通事故で頸椎を痛めた應介はケガを理由に探してくれない。そしてお腹に新しい命を宿しているかもしれない沙都子は不思議なことにこの話の切り出し方が分からない・・・。
 平凡な生活の内に潜む二つの家の葛藤を、周到な会話で縫い合わせるように描き出す命の物語。

 

あらすじだけを読んでみてテーマが重そうだな…とちょっと構えて観に行きましたが、とても考えさせられる内容でした。ライフステージがこれから変化していくであろう年代にいる私ですが、自分の置かれた場所とか価値観とかに改めて気付くきっかけになったかも。

 

幕が上がった瞬間にその世界観にぐっと入っていけるような音楽と演出、築野家と田熊家、正体不明の結と糸、バラバラに語り合っているように見えた3組のストーリーがどんどん交わり合って伏線回収されていって、最初は日常会話のようなところから感情的な言い合い、それぞれの深い部分を見せながらの話し合いになっていって、話にどんどん引き込まれました。命とか家族とか重たいテーマではあるけど笑える部分もあったし、意見をぶつけあう熱量が凄くて会話の進みが速いので2時間あっという間に感じました。今思ったけど「ちくの家」と「たくま家」が合わさって「チクタク」で、時計の針が進んでいくんですね…。

母親の最期をどう迎えるか、宿っているかもしれない新しい命をどうするのか、それぞれが違った考えや気持ちを持っていて、色々な事情があって、誰の意見も間違っているわけではなくて。観ている私としての考え方もあるからまるっと全て同意できるってわけじゃないけど、どの登場人物の気持ちにも共感できる部分があるな〜、と感じながら観劇していました。複数の選択肢を選べるわけではない問題に直面した時にその相手とどう折り合いをつけるのか、相手の意見をどこまで受け入れるのか。

大学生の時の生命倫理や哲学の講義でも舞台のテーマと似たことを考えたなという記憶があるんですが、その時を生きるのはその人自身なんだけど、出産にしても尊厳死にしても生死が関わるとなった瞬間にその人の命ってその人に関わる人たちのものにもなるのかなと思っていて。だからこそ本人の選択に納得できない人も、それを尊重しようとする人も出てくるのは当たり前かなと。そこで相手の言いにくい事情とか本音とかを思えることも大事だけど、自分主体の考え方に縛られてしまうこともあるから本当に難しい。舞台を観終わった後も私ならどうするだろうとしばらく考えていました。

 

沙都子が妊娠出産によって今満足している日常が変わってしまうことが嫌だって気持ちとか母親になることへの不安とか怖さとかすごく共感したけど、應介が沙都子の話をちゃんと聞こうとして受け止めようとしながらも、父親になることで「何者かになれるかもしれない」って期待を持つ気持ちも心にぐさっと刺さるのものがあって。あの舞台の中で生まれてくるはずの純粋で無垢な命の存在を認識してしまって、これまでの人生を全うした方は自分の死に方を自分の意思を伝えることはできるけど、これから生まれてくる命は自分で直接何も伝えることはできないんだよな…と思うと、どうかこの命がちゃんと生きられますようにと感じてしまいました。桜、見られているといいな。もちろん選択肢がある以上はどんな決断をしても尊重されるべきなんですけどね。あの夫婦はどういう選択肢を選んだんだろう、どう話し合ったんだろう。

 

今までシゲがやってきた役は冷静だったりかっこいい役が多かった印象なので、今回演じた一(はじめ)みたいな甘えた感じというか楽観的というか、ふわーっとした感じのキャラクターは新鮮でしたね。41歳フリーターの設定で実年齢よりも上の役だけど、どこか子どもらしさも感じられる役なので大人らしさが出すぎずによく合っていたしこういう役も良いなって思いました。

シゲ主演の舞台ではあるけど主役と言う感じではなく目立ちすぎず、登場人物全員が対等に見えました。だからこそ観ている人それぞれが自由に考えることができるのかな〜、と。シゲ演じる一は私的には一番受け入れづらい登場人物で、もっと頑張れって思ったし人が話したくない事情があるのに気付かずに自分の価値観をぶつけにいく感じにはモヤモヤしてしまった…。ただそんな中でも自分の置かれた状況の中で悩んでいる点は共感できるし、母親への愛情があるからこその考えで、なんとかしたいと思ってるからこそ弟と本音をぶつけ合うこともできるんだろうなとも感じたので、本当に観ている人それぞれの置かれた場所や考え方次第で良いようにも悪いようにも見えてくるな、と思いました。この舞台観た感想を色々な人から聞いてみたいです。

 

以上、全然まとまらない文章になりましたが感想を書いてみました。

2021年のモダンボーイズは大阪公演が中止になってしまったので、今回は最後まで完走できてよかったなと思います。お疲れ様でした!